今回は、部屋の中での野菜栽培について考えてみたいと思います。
▼ 市販品を組み合わせるだけで超簡単!LEDライト付き育苗棚
きっかけは、野菜苗づくりのために部屋の中につくった、自作の育苗システムが意外と使えたので、これで野菜をつくれないかと思ったことです。
植物を育てられる光量は確保できていることがわかった ので、今度は野菜の栽培をどこまでコンパクトに、簡略化して育てられるかを考えてみたいと思います。
普段、苗づくりで使っている36穴トレイで、テストしてみました。
- 36穴トレイで5種類の野菜を栽培してみる。
- きっかけは水耕栽培に挫折し、土耕栽培にシフトする。
- 36穴トレイで5種類の野菜をつくってみた結果。
- ポット栽培の方が大きく育てられて管理もしやすい。
- 36穴トレイでも野菜はつくれるが、少量の野菜やベビーリーフ向けか。
- 野菜は地際で収穫し、土は土のう袋にまとめて再利用する。
36穴トレイで5種類の野菜を栽培してみる。
栽培する野菜
わさび菜、ミニチンゲンサイ、水菜、春菊、ラディッシュ
栽培環境
部屋の中でLEDライト付き育苗棚を使って栽培。
窓はカーテンで遮光、光はLEDライトのみ。
36穴トレイを切って、8穴1ユニットで野菜を栽培する。
栽培期間
11/23種まき→ 1/15~22収穫(約2ヶ月)
栽培方法
① トレイに土を詰めて、種を3粒程度まく。
② 大きくなってきたら、抜くか根元でカットして、1穴1本に間引く。
③ 表面がやや乾いてきたら水を与える。2~3日に一度のペース。
住化ばらの液体肥料を希釈400倍で週1回
ハイポネックスリキダス を希釈100倍で2週間1回、それぞれ与える。
④ 週1回、カニスプーンを使って土をほぐし、酸素が入りやすくする。
▼ 土がかたくなりやすいため、週1回、トレイの縁の土をほぐします。
きっかけは水耕栽培に挫折し、土耕栽培にシフトする。
当初、室内だったら水耕栽培だろうということで、水耕栽培でレタス栽培を開始。
ところが、意外と水の補充が頻繁であまりほったらかせない上、できたレタスが苦くて食べられないということが頻発。
苦みの原因は、多分窒素過多、肥料が多すぎるのだと思います。
ただ、液肥は規定倍率でうすめていたし、手加減ひとつで味に影響しやすいのでは、ちょっと難しいと思い、やめてしまいました。
土栽培でも、以前、高度化成肥料を使った際、同じく野菜が苦くなる経験をしましたが、この点は、穏やかに効く有機系の肥料を主体に切り替えることで、解決できました。
微生物のいない水耕栽培では、有機系含めていろんな肥料が選べないのもネック。
一部の水耕栽培に適した化学肥料に頼らざるをえません。
そこで今回、室内で扱いやすい形を考えながら、土耕で栽培をはじめました。
畑での経験もあるので、やっぱりこっちの方が簡単です。
土の中でバランスがとれれば、簡単に無農薬有機栽培も可能になるのかも。
36穴トレイで5種類の野菜をつくってみた結果。
今回、各野菜を長さ15㎝程度を目安に収穫してみました。
大きさの比較で写っているのは、ティースプーンです。
わさび菜(中原採種場)
もっとも生育がはやく、株張りもよくなりました。つくりやすかったです。
ただ、サラダで食べるなら、もう少し早めに摘んだ方が良かったです。
ミニチンゲンサイ・シャオパオ(サカタのタネ)
葉は肉厚に仕上がったものの、トンゲンサイらしい株の張りは今ひとつ。
葉が横に広がるため、育ちの悪い株も出て、生育ムラが起きてしまいました。
根も土の中でも詰まってきて、水が乾きやすくなってきたため、収穫しました。
株を張らせて大きくするなら、ポット植えなど株間を広げた方が良さそう。
サラダ京水菜(トーホク)
生育に時間がかかった割には、株太りが今ひとつでした。
やや横に広がるので、バラツキが出やすかったのと、葉が絡んで収穫がやや面倒。
サラダ用春菊(トーホク)
横に広がりますが、生育ムラはあまりなく、肉厚でおいしい春菊になりました。
ただ、スーパーでみかけるような大きな春菊にするには、土の量が足りません。
サラダなど生食で食べる程度、上のサイズがトレイ栽培では限界な印象でした。
ころころラディッシュ(タキイ種苗)
今回栽培した野菜の中で、もっとも葉がよく伸びました。
生育ムラが出てしまったのと、ころころラディッシュ自体がミックスの種なので、
色によってもやや生育差が出ました。
また根菜は収穫時に土がつきやすいため、室内栽培にはやや不向きな印象です。
調理用途もピクルスぐらいしか思いつかないので、ボツかなあ?
ポット栽培の方が大きく育てられて管理もしやすい。
レタスは量産体制にもっていきたいと思い、こちらは10.5㎝ポットで栽培。
品種は、リーフレタスグリーン(サカタのタネ)です。
写真のボックスには、6株入っています。株間は15㎝程度離してあります。
こちらは生育にあわせて、株間を広げられるので、ムラなく大きくなりました。
また、土の量も多いので、水やりの回数も週2回程度に軽減、断然ラクです。
冬でも部屋の中なので、種まきから60日程度で、株がよく太りました。
2株で大人2~3人は十分食べられる量のレタスを収穫することができました。
無農薬栽培で、エグミもなく味も濃く仕上がりました。
36穴トレイでも野菜はつくれるが、少量の野菜やベビーリーフ向けか。
今回、36穴トレイを切って、8穴で1品種ずつ栽培しました。
各野菜ともに長さ15㎝を目安に、料理一品分に使える量が収穫できました。
今回の栽培結果では、わさび菜とサラダ春菊がつくりやすそうでした。
トレイ栽培でのポイントはこんな感じです。
- 1穴1本になるように必ず間引く。
- 横に広がりやすい野菜は、生育ムラが出やすいので不向き。
- 野菜が大きくなると、土が乾燥しやすくなるので、水切れ注意。
- 収穫時は、株元近くハサミを入れ、土がつかないように収穫する。
ベビーリーフフは十分栽培できそうな印象ですが、トレイ栽培だと密植になります。
芯を気にしながら、脇の葉だけ摘み取るという従来の収穫方法は、正直かなり面倒くさく、現実的でありません。
また、土の量=根域も限られるため、長期間の収穫が不向きでもあります。
そこで、一回収穫を基本とし、どんどん種をまいていくのも手だと思いました。
トレイ栽培は、わさび菜やサラダ春菊、ルッコラなど、サラダのアクセントで少し
使うものを栽培するのに向いている印象を受けました。少量向け。
レタスなどしっかり大きく収穫したいのなら、土の量も多く、株間も調整ができる
ポットでの栽培がオススメです!9~10.5㎝サイズあたりが良さそうです。
野菜は地際で収穫し、土は土のう袋にまとめて再利用する。
野菜は地際でハサミで切って収穫し、トレイの土は土のう袋にまとめます。
ある程度(1ヶ月以上~)たまったら、ガラや根は取り除いて燃えるゴミで処分、
残った土を、特に手を加えずそのまま再利用します。
ただし、年1回を目安に、リサイクル材か、土の量に対し5%のくん炭を加えて、
土の活性化をはかるようにしています。
今後は「菌の黒汁」で、光合成細菌の定期的な補充も組み入れてみようと思います。
有機質の補充と微生物の活性化をおこなうことが、土中のバランスをとるのに効果的
なようで、連作障害の多くを防ぐ効果も期待できるようです。まさに土づくり。
数年検証しないとわかりませんが、持続的な手法として取り組みたいと思います。